パンク修理は「原因を隠すトゲ」を抜くまで終わらない
- 横山昭弘

- 8月13日
- 読了時間: 3分
昨夜の閉店間際、外国籍らしき若いお客様が「チューブを交換してほしい」とシティサイクルを持ち込まれました。
詳しい状況を聞いても「とにかく交換を」の一点張り。ですが、タイヤの摩耗は少なくまだ十分に使える状態です。翌日までお預かりし、「修理で直せるなら任せる」との了解を得て原因究明を始めました。
さっそく車体を調べると、いくつかの違和感(ヒント)が見つかります。
ピカピカのバルブネジ: 最近交換したばかりの様子。
ヨレた虫ゴム: 100均製らしき粗悪なゴムが内部でヨレ、漏れの原因になっていた。
自分で直したパッチ跡: チューブを水没させると、以前自分で直した跡を発見。

さらに調べると、その修理跡のすぐ近くに別の擦り傷(穴)がありました。
そこでタイヤの内側を指で念入りに探ってみると、チクリと刺さる感覚が。外側からごく小さな金属片が刺さったままになっていました。


この金属片は、外側から刺さったものなので「外側から抜く」のが鉄則。内側から無理に押し出すと、タイヤの繊維を傷つけてしまうからです。原因であるトゲを慎重に抉(えぐ)り出しました。
ここで、お客様が頑なに「交換してほしい」「任せます」と言った理由が理解出来ました。
【推理】
自分でパンクを直したが、タイヤに刺さった金属片(原因)を放置したため、またすぐにパンクした。
それをバルブのせいだと思い、自分で虫ゴムを替えたが、ゴムがヨレてさらに空気漏れが悪化した。
万策尽きてプロに託し、「もう全交換しかない」と思い込んでいた。
幸い、ご自身で直したパッチは生きており、チューブ自体の傷みも少なかったため、今回は穴へのパッチ修理と、質の良いバルブへの交換だけで完璧に直りました。
(スポーツ車なら車輪が容易に外せる構造なので、チューブ交換が安価ですが、今回は別)
「パンクくらい」と表面だけを触り、根本的な原因を見落とすと、結果的に何度も遠回りをすることになります。修理とは原因を突き止めて排除すること――そんな基本の大切さを改めて実感した一台でした。
【修理を終えて】
通常、お客様にこうした一連の経緯を説明し、「今後はここを気をつけてくださいね」とアドバイスをして、もっと自転車を大切に、上手に乗ってもらいたいという思いがあります。
ただ、現実的には「直って動けばそれでいい」という感覚のお客様が多いのも事実です。そこまで深く興味を持ってもらえないかもしれないと思うと、プロとしては、少し寂しい気持ちになるのも本音です。
それでも、次に乗る時にトラブルなく安全に走れるよう、見えない原因まで可能な限りに潰す。それが、私たちが提供する「修理」なのだと思っています。
但し、どこまでやるか?も難しい選択を迫られる場合があり、悩むこともあります。




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